めまい・失神

めまい・失神とは

めまいは、様々な原因で生じますが、心臓に問題があって生じるめまいは、前触れなく突然、意識が遠くなって倒れそうになるという特徴があります。一方、頭の向きを変えると起こるめまい、天井がグルグル回って吐き気を伴うめまい、立ちくらみ、浮遊感やふらつき、まっすぐに歩けないなど、心臓以外の原因によって起こっており、耳鼻咽喉科領域の疾患や自律神経やホルモンバランスの乱れなどが疑われます。

めまい・失神の原因

めまいや失神の原因として、耳や脳に何らかの疾患があり生じることもありますが、心臓に疾患がある場合でもめまいや失神は生じます。特に心臓の弁や心筋と呼ばれる心臓の筋肉に何らかの異常があると起こりやすくなります。一時的なもので治療が必要ないこともありますが、中には重大な疾患の症状としてあらわれることもあるので、めまいや失神がありましたら当院までご相談ください。

めまい・失神を伴う疾患

徐脈性不整脈

成人の一般的な心拍数は1分間に50回以上とされています。1分間に50回以下になる場合に徐脈性不整脈を考えないといけません。心臓は洞結節から出る規則的な電気刺激によって拍動していますが、電気の通り道を伝導路といいます。伝導路の発電所として働いている洞結節の機能障害による洞機能不全症候群、房室ブロックで電気刺激が途中で途絶えてしまうことで徐脈性不整脈を発症します。心拍数が減少すると送り出される血液の量も減り、酸素や栄養が不足して、めまいや息切れを起こすことがあります。心電図やホルター心電図によって心臓の状態を把握して診断します。ペースメーカー植え込み治療によって発症前とほとんど変わらない生活が可能になるケースもあります。
最近はスマートウォッチや携帯型心電図などが普及し、早期発見できるケースが増えています。

頻脈性不整脈

突然動悸を感じて動悸が続く場合、頻脈性不整脈を疑います。頻脈性不整脈は、心房から発生する上室性頻脈と、心室から発生する心室性頻脈に分けられます。さらに上室性頻脈は、上室性頻拍、心房細動、心房粗動などの心房内から発生する不整脈に細分化され、安静時にも120~180/分程度の頻脈になります。心室が原因になって起こる頻脈は危険性が高いことから早急な治療が必要です。冷汗や意識消失、血圧低下などを伴う場合にはお早めにご相談ください。
また、心筋梗塞や不安定狭心症など危険な心筋虚血によって起こることもあり、心筋症で心機能が低下することで生じる場合もあります。遺伝的要因によって発症するブルガダ症候群、QT延長症候群など、幅広い疾患が疑われます。心電図をはじめとした検査を早めに受けて原因を確かめましょう。

大動脈弁狭窄症(心臓弁膜症)

心臓には逆流を防いで効率よく血液を送り出すための弁があります。左右の心室、心房の出口に各1つ、合計4つの弁が存在しています。心臓弁膜症は、心臓の弁がうまく機能しなくなる疾患で、硬くなって開きにくくなる狭窄性と、閉じにくくなる閉鎖不全症に分けられます。閉鎖不全症はゆっくり進行して心拡大が少しずつ進み、心不全症状を起こすことが多くなっています。狭窄性の場合は、突然発症するケースがあり注意が必要です。
また、特に問題になるのは心房細動を合併しやすく心原生塞栓症(脳塞栓症)のリスクが高い僧帽弁狭窄症、そして重症化すると急性心不全を起こす大動脈弁狭窄症です。健康診断などで心音異常を指摘された、息切れや胸痛などの症状がある場合には早めにご相談ください。

起立性低血圧症・神経調整性失神

脳全体の一時的な血流低下によってめまいや失神が起こることもあります。脳の血液循環は5秒以上中断されると完全な意識消失を生じます。また、収縮期血圧が60mmHgまで低下すると失神します。こうした症状を起こす代表的な疾患には、起立性低血圧や神経調節性失神、狭心症や心筋梗塞、神経系疾患などがあります。また、めまいは耳鼻咽喉科の疾患などによって生じることもあります。必要な検査を行って慎重に原因を検索して行く必要があります。

良性発作性頭位変換めまい症

頭を動かす、あるいは特定の角度などになると視界がグルグル回る回転性めまい、大きく揺れる浮動性めまいなど激しいめまいを生じます。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。内耳にある平衡感覚を司っている部分が原因となり症状を起こし、症状は激しいですが、耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることで比較的治しやすい疾患とされています。原因は三半規管につながる前庭の炭酸カルシウム結晶である耳石が脱落し、三半規管に入っていることとされています。耳鳴りや難聴を伴わないことも特徴です。

心タンポナーデ

心臓を包む厚さ3mm以下の心膜が急性の炎症を起こしている状態です。胸痛が主な症状であり、深呼吸や咳などで胸痛が強まります。主にウイルスによる感染症で生じていると考えられています。しかし、多くは原因を特定することが出来ません。急性心筋梗塞後、腎不全による尿毒症、感染性・がん性・自己免疫性の急性心膜心筋炎が原因となることもあります。急性心膜炎の場合、心電図で何らかの異常を認めることが多くなっています。急性心筋梗塞とは、心電図の特徴や胸痛の内容などによって区別できます。また、心膜と心臓の間に心嚢液が溜まっている場合には、心臓超音波検査で確認できることもあります。

めまい・失神の検査

めまいや失神が生じている場合、原因となる疾患を問診などにより絞り、その後、必要に応じて血液検査や心電図、ホルター心電図、心臓超音波検査を行います。

めまい・失神の治療

ウイルス感染の場合には、炎症を鎮める薬を投与して炎症や痛みをコントロールします。疾患が原因の場合には、その疾患の治療を行います。
心タンポナーデは、心筋と心膜の間に心嚢液が溜まり、心臓が圧迫されている状態であり、入院加療が必要な状態です。高度な医療が必要な場合には、連携する医療機関へご紹介させていただきます。

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