手足のむくみ

むくみとは

むくみは医学的には浮腫と呼ばれており、皮下組織に水が溜まっている状態です。水は重力の影響によって下に溜まるため、むくみは下肢に生じやすい傾向があります。むくみは塩分の過剰摂取や同じ姿勢を長時間続けるなどの生活習慣によって生じることもありますが、疾患が隠れている場合もあります。心不全など深刻な疾患の症状としてあらわれている場合もあります。むくみが続く場合には早めにご相談ください。

このような症状はありませんか

  • むくみが何日も続いて解消しないまたはしわがない
  • 足の血管がボコボコと浮き出てきた
  • 足が痛い
  • 足がつりやすい
  • 急に体重が増えた
  • 顔やまぶたがむくむ
  • 足首やスネを指で押すとへこんでなかなか戻らない
  • 尿量が少ない
  • 坂道や階段で息切れする
  • 疲れやすい

など

むくみの原因

むくみは食生活を含む生活習慣などで起こることもありますが、心臓や腎臓など身体に何らかの疾患があり生じることもあります。

心臓の障害

心臓機能が低下して心不全になると全身へ十分な血液を送り出せなくなり、血行が悪化し、むくみを引き起こします。心不全は様々な心疾患によって起こります。

肝臓や腎臓の障害

肝臓や腎臓の疾患があると、アルブミンというたんぱく質の量が低下します。アルブミンは血管が水分を取り込むための浸透圧を調整する役割を持っており、アルブミン量が低下すると水分調整がうまく行えなくなってむくみを生じます。

リンパのむくみ

リンパ管を流れるリンパ液の流れが滞って四肢に溜まり、むくみを起こすことがあります。がんの手術後に生じることが多く、術後すぐの発症もありますが、術後10年が経過してから突然生じるケースもあります。

下肢静脈瘤

足に届いた血液は重力に逆らって遠い心臓まで戻されますが、そのためにふくらはぎの筋肉が第二の心臓のようなポンプの役割を果たしています。また、静脈を上がっていく血液の逆流を防ぐために、足の静脈には静脈弁があります。この静脈弁が壊れて血液が十分に戻せなくなり、弁不全をきたします。血液が溜まり静脈血管が瘤状に膨れた状態が下肢静脈瘤です。細いクモの巣のように見えるタイプもあります。

深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

長時間座ったままでいるなど、同じ姿勢をとり続けることで足の静脈に血栓ができやすくなります。足の静脈に血栓ができると血液が心臓に戻りにくくなって足がむくみます。この血栓が血流に乗って肺の血管を詰まらせる肺塞栓症を起こし、命にかかわる可能性があります。

生活習慣がかかわるむくみ

様々な生活習慣もむくみの原因になります。生活習慣によってむくみの症状を起こす疾患の発症につながることもあり、注意が必要です。

同じ姿勢で長時間過ごす

立ち仕事やデスクワーク、飛行機やバス移動など、長時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎの動きが減少します。ふくらはぎの動きは足に溜まった血液を重力に逆らって心臓に戻すためのポンプ機能を担っているため、ふくらはぎの動きが減ると足に血液が溜まりむくみを生じます。下肢静脈瘤のリスク要因にもなります。


運動不足・過度なダイエットによる筋力の低下

ふくらはぎの筋力が低下すると足の血液を心臓に戻す機能を十分に果たせなくなり、むくみを生じます。


過剰な塩分摂取

過剰な塩分を摂取すると体内の塩分濃度を薄めるために大量の水分をとってしまい、むくみにつながります。また塩分は水分を抱え込むため、水分の排出も滞り、むくみの原因になります。


過剰なアルコール摂取

アルコールには血管内を脱水させる作用があり、身体の水分が失われて血液濃度が上昇します。その状態を解消するため身体は血管内に水分を取り込みますが、その水分によってむくみが生じることがあります。

むくみの検査

血液検査

腎機能や肝機能、アルブミン値などを確かめることができます。D-ダイマーという血栓の賛成マーカーにより静脈血栓の有無を確認できます。

尿検査

腎機能障害が進むと、尿中にアルブミンが現れます。

胸部X線検査

心臓のサイズを確認して心拡大の有無を確かめ、同時に肺にうっ血がないかも確認できます。

心臓超音波検査

超音波で心臓の大きさ、動き、形状などを調べ、心不全の原因を確かめます。血管超音波検査では血流や血栓の有無、血管の肥厚などの確認が可能です。

むくみの治療

むくみの原因となっている疾患があれば、原因となる疾患の治療を行います。また、体内に水分が溜まりすぎ、むくみとなり生じている場合には利尿剤などを使用することで体内に溜まった過剰な水分を排出します。さらに、こうした薬物療法だけでなく、生活習慣の改善も重要になってきます。

マッサージとストレッチ

ふくらはぎに溜まった血液を心臓へ戻すために、なでるようなマッサージが有効です。リンパ液の流れを改善するためにも役立ちます。ストレッチでふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋をほぐし、血流を改善させるのも効果を期待できます。なお、マッサージやストレッチは痛みがあるなど異常を感じる場合には行わないでください。

食事

塩分の多い食事を控えましょう。ハム・ソーセージ・干物・漬物・インスタント食品・スナック菓子などは塩分が多いので控えましょう。

運動

散歩や階段を使うなど、日常的にふくらはぎを動かすよう心がけてください。デスクワークなどで同じ姿勢を長時間続ける場合、こまめに休憩をとって少しでも歩く(ふくらはぎを動かす)ようにしましょう。ストレッチも有効です。また座ったままでも、かかとの上げ下げを行うと血流が改善します。

弾性ストッキングの使用

足に適度な圧力をかかり、むくみを軽減する効果が期待できるストッキングです。弁不全がある患者さんにも有用で下肢の静脈血栓の予防も可能です。正しく着用しないと血行悪化を招くこともありますので、医師に相談してから着用するようにしてください。

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